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語堂正範
2025年5月16日
平井知事に令和7年度6月補正予算等に対する提言
先日、鳥取県議会自由民主党の会派要望に副政調会長として出席。
政調会長の代わりに令和7年度6月補正予算等に対する提言を平井知事に説明させて頂きました。私が提言した農作物の価格形成、私立無償化による県の対応、小中学校の人員配置などを盛り込んだ提言書となっております。
これからもより良い県政を実現するために頑張って参ります。
[鳥取県議会自由民主党の令和7年度6月補正予算等に対する提言]
1.トランプ関税政策による影響への対応について
先月、アメリカのトランプ政権は、自動車関税や相互関税等のいわゆるトランプ関税政策を次々と発動した。その後、政策は刻々と変化してきているが、その影響により、世界経済の先行きは不透明感が増しており、為替相場の不安定化や製造業を中心としたサプライチェーンへの深刻な影響など、県内産業を取り巻く事業環境にも大きな影響が生じることが懸念される。
ついては、
(1)トランプ関税政策により、米国市場における日本製品の価格競争力が低下することで、県内企業の取引先からの受注減やコスト削減などのしわ寄せも懸念される。ついては、新たな販路開拓など事業環境の変化に対応しようとする県内企業に対して、資金繰り対策も含めた機動的かつ効果的な支援を実施すること。
(2)事業環境の急激な変化を受けて、賃上げの機運が抑制されることがないよう、適切な支援の実施を検討すること。
(3)関税交渉において、米国産コメをはじめとした農産物の輸入拡大が交渉カードに加えられるとの報道もある。本県では、生産者をはじめ関係者一同で、本県産品の品質向上や販路拡大に取り組んでいるところだが、米国産品の輸入拡大は、こうした関係者の向上意欲を阻害しかねない。同時に、食料安全保障の観点からも懸念される事態であることから、生産者の声を聞き、本県農業に悪影響を及ぼすことのないよう対策を講じること。
2.物価高騰への対応について
食料品等の生活必需品や原材料等の物価は高止まりの状況が続いている。各家庭においては節約が意識され実支出を抑制せざるを得ない状況にあるだけでなく、各事業者においても収益が得られにくくなるなど、県民生活や県内事業者の事業活動にも深刻な影響を及ぼすことが懸念される。加えて、先述したトランプ関税による先行きへの不透明感も相まって、県民の負担と不安は高まっている。現在、国において対策を検討中との報道もあるが、県民生活への悪影響は確実に深まっており、より早急な対策が必要であると考える。
ついては、適切かつ迅速に対策が講じられるよう国に対して求めるとともに、国の動きを注視して、速やかに施策を展開できるよう引き続き検討を行うこと。
3.持続可能な農業の実現に資する合理的な食料の価格形成について
食料・農業・農村基本法は、昨年5月、25年ぶりの改正により「食料安全保障の確保」が盛り込まれ、その基本理念の一つに「持続的な供給に要する合理的な費用を考慮した食料の価格形成」が掲げられている。
目下、米の品薄と価格高騰により多くの県民が影響を受けており、早急な改善が求められる。しかしながら、これまで大規模稲作農家であっても赤字の経営主体が見られるなど、米の価格がそもそも低すぎたとの指摘も見られる。
我が国の農業は、生産や流通に要するコストを適正に反映させた販売価格を実現させ、生産者が生産を続ける意欲を持つことができる、持続可能な農業へと転換していくことが重要である。このため、流通事業者、小売り・飲食店、消費者など、食料システムを形成するあらゆる関係者の価格形成に対する理解促進と行動変容が必要である。
現在、国会において、改正された食料・農業・農村基本法の関連法案として、合理的な食料の価格形成を主眼とした法律案についても議論されているが、同法案の動向を注視するとともに、必要に応じて関係者の意見を聴取したり協議の場を設けるなどして、今後、本県において適正な価格形成が着実に行われ、持続可能な農業が実現できるよう、対策を検討すること。
4.外国人材を活用した介護人材確保に向けた取組について
現在、県内においては、介護分野の有効求人倍率が3倍を超える状況にある。一方、県西部で唯一の介護福祉士養成の専門学校として30余年にわたり700名以上の人材を輩出してきたYMCA米子医療福祉専門学校の介護福祉科が今年度末を以て廃止となるなど、介護の担い手確保は喫緊の課題である。
国が介護人材確保対策の一つとして「外国人材の活用」を掲げ、在留資格の整備をはじめとした受入環境整備を推進する中、県においても外国人材の活用を進めるべく支援制度の充実等が図られてきてはいる。しかしながら、小規模事業者単独では外国人材の募集や採用のための知識や経験に乏しく、受入れ環境の整備も困難なため、意欲はあれども実際の受入れが進まない状況にある。
こうした背景を踏まえ、県内の介護事業者や関係機関のニーズをよく聞きながら、例えば県内の介護事業者から外国人材の受入希望人数を取りまとめ、優秀な外国人材の必要数を確保した上で、各事業者に振り分けるような新たな仕組みを検討するなど、県としても外国人介護人材の受入・就労支援を積極的に行っていくこと。
5.私立高等学校等授業料無償化を踏まえた今後の教育環境について
高等学校等就学支援金等による支援対象者の所得制限が撤廃され、来年4月には公立高校だけでなく私立高校の授業料も全面無償化されることが見込まれている。生徒ひとりひとりの選択の可能性が広がることになる一方で、授業料の格差が無くなるため、公立高校への入学者が減少することも懸念される。
こうした状況に対処するため、公立高校においては、生徒から選ばれる学校となるよう、更なる魅力化へ向けた取組を強力に進めるとともに、中高一貫教育を希望する生徒の受け皿にもなるよう中高一貫校の設立についても検討を進めること。
また、本県では私立高等学校等に対して従来から手厚い支援を行っているところであるが、国の制度が大きく変わることを踏まえ、国の動向や全国の私学の動きを注視しつつ、本県私学関係者とよく協議した上で、令和8年度に向けた私学支援の制度設計を検討すること。
6.小中学校への人員配置に係る国への要望について
各小中学校では、国及び県からの補助を活用して、スクールソーシャルワーカーや学校看護師、外国語支援員などが配置され、医療的ケアや健康管理を要する児童生徒のサポート、外国人児童生徒や生徒への日本語指導など、多様な課題の解決に尽力されている。しかし、市町村の要望に対し、国庫補助の十分な予算措置がなされていない。
ついては、教員不足の解消とともに、各職種の人材確保に向け、引き続き施策を実施していくとともに、市町村に対し十分な支援が行われるよう、国に対して要望すること。
7.インバウンド及びアウトバウンド対策の強化について
米子ソウル国際定期便が2025年夏ダイヤからこれまでの週3便から週5便に増便されるほか、今月29日からはタイガーエア台湾による米子台北便の就航が始まり、同日より「日台観光サミットin鳥取」が開催される。また、現在、大阪・関西万博が開催されており、多くの外国人が日本に訪れている。これらを契機として、インバウンド誘客の更なる拡大を図ること。
併せて、航路維持のためには、アウトバウンド利用も重要となってくるが、インバウンドに対してアウトバウンドが少ない状況が続いていることから、アウトバウンド対策についても、更なる取組の強化を図ること。
8.二巡目国民スポーツ大会に向けて
国民スポーツ大会については、日本スポーツ協会等において今後のあり方等の見直しが進められているところであるが、令和15年(2033年)の本県の二巡目開催が8年後と刻々と近づいてきている。今後、選手・指導者の育成、審判員の確保をはじめ、市町村ごとの開催競技の決定、またそのための競技施設の新設や改修等も進めていく必要があるが、特にハード整備においては現状の物価高騰、人手不足問題もありこれまで以上に時間を要することが考えられることから、そのような状況も踏まえて着実に計画、準備を進めること。
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